「SAMP8におけるソバデンプンの認知機能低下抑制作用と腸内細菌叢変化をもたらすアミロペクチン構造の寄与」についての学会発表
2025年3月4~8日に開催されました「日本農芸化学会 2025年度札幌大会」において、日穀製粉株式会社(代表取締役社長:小山紀雄)と信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所(教授:片山茂)との共同研究の成果として「SAMP8におけるソバデンプンの認知機能低下抑制作用と腸内細菌叢変化をもたらすアミロペクチン構造の寄与」について、発表がありました。
老化促進モデルマウスSAMP8におけるソバデンプンの摂取は、腸内細菌叢の変化と関連し、腸管バリア機能の強化を通じて、脳海馬における炎症の抑制や脳由来神経栄養因子BDNFの発現を増加することが認められました。また、ソバデンプンは、他の穀物デンプンとは異なるアミロペクチン構造を有し、この特徴的構造が、腸内細菌叢を介した認知機能の低下抑制に寄与している可能性が推察されました。
(発表内容)
これまでの研究で、ソバ全層粉およびソバデンプンの長期摂取が老化促進モデルマウスSAMP8の認知機能低下を抑制することが示されている。本研究では、抗生物質で腸内細菌叢を除去したSAMP8を用いて、ソバデンプンの認知機能低下抑制が腸内細菌叢の変化を介するかを検討した。その結果、ソバデンプン摂取群では学習記憶能力の向上が見られたが、抗生物質投与下では効果が消失した。また、ソバデンプン摂取は腸内細菌叢と関連し、腸管バリアを担うOccludinやZO-1の発現が増加し、脳海馬での炎症性サイトカインの抑制や神経栄養因子BDNFの発現増加が認められた。さらに、アミロペクチン構造解析を行ったところ、ソバデンプンのアミロペクチン鎖長はコムギやコメデンプンに比べて、クラスターを形成する超長鎖の割合が高かった。すなわち、ソバデンプンは消化抵抗性が高く、他の穀物デンプンと比較して消化後の断片物に構造的特徴があることが示唆された。以上の結果より、ソバデンプン摂取による認知機能低下の抑制には腸内細菌叢が関与し、この効果にはソバデンプンのアミロペクチンの特徴的構造が寄与することが推察された。
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